CwOnline読者レポートコーポラティブハウス-第1章

カーサウエスト読者レポートコーポラティブハウス
第1章 コーポラティブハウスとの出会い

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 1999年のある春の穏やかな日、いつものごとく二日酔いのボーっとした頭で新聞を読んでいたら、千里山コーポ入居者募集といった記事が目に留まりました。定期借地権利用(60年)で入居する人が建設組合を作り、その後管理も自らで行うとあり、この辺は「ふーん」といった感じですが、各戸が3階建ての10戸で自由設計(戸建てではありませんので制限はありますが。)が出来ることや環境に配慮した材料を使用すること、デベロッパーを介さないために、費用が安くなると、読み進む内に自分の中で徐々に家の構想が生まれ、読み終わった後には既に完成していました。後日、説明会に参加して、即決したのは言うまでもありません。
 ここで、少し千里山コーポについて説明します。土地所有者はご高齢で、相続対策として6年前に約1700平米の敷地に賃貸マンションを建設されました。今回の建設場所は、その賃貸マンションに隣接した敷地で約1500平米の敷地に戸建感覚の3階建鉄筋コンクリート造り長屋建形式10戸の計画です。当初は1棟目完成後2年を経過して今計画場所に2棟目の賃貸マンションを建設する計画でした。(同時開発すると開発面積が3000平米超となり、接道条件が満足しないことや、開発公園の提供が必要なため、2期に分割しました。1期目の賃貸マンションの経営は、立地の好条件と優良な管理により順調に推移していますが、賃貸マンション建設のメリットは相続対策以外に見当たらず、また、土地所有者は賃貸市場の冷え込みから2棟目の建設を躊躇されていました。計画地が住宅密集地に位置することから遊休地活用法としては制限され、賃貸マンションや売却による資産運用など様々な検討をされた結果、定期借地権によるコーポラティブハウス建設を選択されました。選択された主な理由は、借地なので初期投資がすくない。(造成工事を保証金で行うため持ち出しはありません)。コーポラティブ方式なので借地人が計画段階からわかる。定期借地権で敷地の返還が確実である。コーポラティブ方式の共同住宅は管理がよくできるので手間がかからないうえに借地期間満了後建物を無償で譲り受け活用することもできる。コーポラティブ方式では、こだわりのある家を作るので借地人の変動が少ない。 良好な町づくりに参画できる等で双方の思惑が一致したカタチとなっています。
 それ以後この事業が本格化し募集を開始、私が応募した時点では既に6戸が決定していました。しかし、参加者が集まらないと、組合が作れず、この辺がコーポラティブの難しさでもあります。参加者は思いを膨らませているのに、集まらないために計画が止まってしまう。大々的に募集するというのは本来の目的から外れるし、主旨も違う。最後の1戸が決まり。建設組合を結成出来たときは、嬉しさとともに安堵感が広がりました。
 内容が前後しましたが、説明会では過去のコーポラティブハウスのスライドや定期借地権、住宅金融公庫の融資、これからの作業工程、日程についての説明。最も現実的な話は自己資金が必要なこと(公庫の融資が上棟時になるため、設計料やその他運営費は自己資金によってまかなわれる)と月一回の総会への参加(その他個別の設計の打ち合わせは別)等があり、(この辺もコーポラティブハウスのデメリット。とにかくすんなりとはいきませんし手間も時間もかかります。でもこの苦労が後に喜びと変わり、今後の入居者同士の関係にも影響するのですが)このことで断念された人もいます。広い意味での住まいへの情熱が試されます?(笑)
 誰もが、自分たちの生活スタイルに合わせて住まいを考えたいと思っていることでしょう。しかし、マンションや建売住宅では自分たちが住まいに合わせないといけません。また、現実的な問題はこと住まいに関して大きく(高い買い物)、これを実現できる人は都市部においては限られた人達です。そして、これをクリアできる方法がコーポラティブなのです。
written by 西田

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