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編集長のひとりごと003
本紹介「健康な住まいへの道」

book健康な住まいへの道

 石川恒夫訳 高橋元監修 今日は一冊の本の話をしよう。ドイツのエコロジー+バウビオロギー建築の第一人者、ホルガー・ケーニッヒ氏による「健康な住まいへの道 バウビオロギーとバウエコロジー」の邦訳が出版された。ドイツでは1985年に初版が出版されているが専門家だけでなく、建築主や一般ユーザーにも幅広く読まれており、この種の専門書としては画期的な4万5,000部の売り上げを記録しているという。新製品の登場に対応するため改定が重ねられており、邦訳には1997年発行の第9版が用いられている。
 日本のようにハウスメーカーが存在せず、専門業者に依頼すれば16%の付加価値税が加算されるため建築主が自らの手で住宅を建てることも珍しくなく、何らかの形で住まいづくりに参加するのが当たり前となっているドイツでは、「健康な住まいづくりのための教科書」として広く認識されているという。建材のコスト比較(ドイツマルク表示)がなされていたり、工法の比較と材料選択のための豊富な選択肢が掲載されていることが本書の人気の理由であろう。また、天然系の素材なら何でも良しとしていないところにも共感する人が多いのかも知れない。
 これから家を建てようという人にとってはいささか詳しすぎる部分もあるが、環境に対する配慮や健康に関心の高い人にとっては、通読することによって体系的な知識を得ることができるはずである。一方、専門家にとっては必要な時に必要な個所を辞書をひも解くように読むことができることも本書の大きな特徴である。巻末に収録された監修者の高橋元氏による日本とドイツの気候から国情、環境や住宅に対する意識の比較も環境問題への取り組みの在り方を考えさせてくれてなかなか面白い読み物となっている。

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