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CW Gallary 003

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撮影場所:兵庫県西宮市 撮影:平 桂弥


今日は美しい日だ。
大阪の都島通りで、車の中から空を見ている。
今年一番に描いた絵は、あんな雲だった。

「身辺の整理をしていたら、貴女から借りた楽譜が出てきた。それを、返したい。」
と、20数年ぶりに電話をくれた人に、贈る為の絵を描いて欲しい。
そんな依頼が、去年の末にあった。
病院の壁に、額は掛けられないだろうから、
小品4枚を手の中で観られる見開きに装丁した。
慰めや、励ましはいらないだろう。
私にその時がきたら、もっとも絶ちがたいだろうものを描こうとした。
4つの作品の為の詩
 1つ こんな日に 雲が行くのを見ている
 2つ 風が吹いて 葉のない立木がゆれて
 3つ 春になって 花が咲けば
 4つ ああきれい と言うひとがいることを 思い浮かべる

絵が届いた翌日、その人が亡くなったと知らせがあった。間に合ったのだろうか。絵はどうなったのだろう。
慌ただしさに紛れて梱包も解かれずに置かれているかもしれない。焼かれてしまったかもしれない。それとも、誰かが大切に保管してくれているかもしれない。そのどれもが確かにあった事と思えて、どの場合も自然のことと思えた。
描くことと、描かないこと。生きることと、死ぬこと。正気と狂気の間に障子紙ほどの隔たりがあるのだろうか。ずっと昔、映像で観た、障子紙のスクリーンを並べ、突き破り、走り抜けるパフォーマンスを思い出していた。

冬枯れて、葉のない木立が美しい。

さっきから、自転車の警官が横を通っていく。今度は、婦警さんだ。
ここにいる自分と、いない自分は、両方あったことと同じである。
といっても、駐車違反の言い訳にはならないだろうから、そろそろ車を出さなくてはいけない。

私は、生きて、正気で、絵を描こう。
狂気で、死んで、描かない自分を同時に側に置きながら。

エス・トモ

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