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建築家の仕事をする関西の優良施工会社
モデルハウスと建築家とのネットワークでネット時代の仕事の流れに対応

株式会社コアー建築工房大阪府堺市

株式会社コアー建築工房
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<< モデルハウス外観。向かって左側がフォルクスA、右側は自然素材とOMソーラーを採用。外部は杉材
 大阪府堺市深井中町にある株式会社コアー建築工房は、自然素材をフルに使い、OMソーラーを組み込んだ住宅とフォルクスAタイプを中庭でつなぎ一つにしたというモデルハウスを住宅展示場に出展したところである。泉北高速鉄道の深井駅のすぐ近くにある堺泉北住宅博内にある同社のモデルハウスに代表取締役の吉瀬融氏を訪ね、設立の経緯、業務の特色、今後の展開、そして建築家の住宅を手がける思い等をうかがった。

インターネットは仕事の流れを変える?
 吉瀬氏は複数のハウスメーカーで技術部門を担当後、1989年(平成元年)に株式会社コアー建築工房を設立、独立を果たしたという。下請けの仕事を2年ほどやり、営業担当者を採用して自社で直接受注する体制に切替えていった。元々が技術系なので技術には自信があるが、先行きには不安も感じているという。
 ネット時代になって仕事の流れが変わるかもしれないという。すでにインターネットで設計事務所を検索するユーザーが増えているが、あと半年か1年もすればホームページを見て設計事務所に直接相談することが当たり前になるだろう。そんな時代を見越して、設計事務所とのつき合いの輪を広げていきたいという。
 以前からエンドユーザーに対しては提案型のビジネスを進めてきたが、建築家とのつきあいの中から新しい考え方や新しい知識など学ぶべきものは学んでいこうという。一番の目的は、設計や技術部門の社員のレベルアップである。
 
ユーザー層の変化にすばやく対応
 同社がOMソーラーに加盟したのは6年前で、青年会議所で環境問題と取り組み、大和川の浄化運動などを行ったことがきっかけである。環境を意識するようになり、OMの話を聞いて、これからの時代にぴったりだと思ったのである。
 目下、 同社が手がけているのは自然素材の住宅やOMソーラーを設置した住宅だけではなく、同社らしいデザインに一般的な材料を用いた住宅や高級注文住宅もある。
 かつては延床50坪以上の高級注文住宅が主体であったが、OMソーラーを始めてから思想性が高くなった替わりに、器は小さくなったそうで、延床40坪以下が多くなり、1戸当たりの平均施工費も2,900万円程度になった。客層も若くなり、第1次所得層が増えている。ここ数年の年間施工棟数は30〜35棟で、その内の約1/3がOMソーラーを採用している。棟数が増えれば、ユーザーの幅も広がるため自分たちのやりたいものだけに特化することはできないが、量的なメリットが有効なことも事実である。
 
モデルハウスで受注数をアップ
 エコロジーや自然素材の住宅への関心が高まる中で、OMソーラーを採用した住宅やプロトタイプ的な住宅のユーザーへの訴求効果を期待して住宅展示場に出展を果した。現実に、ゴールデンウィークからこれまでの来場者は2,000組を越えており、同社でも年間の受注数を45〜50棟に増加できるものと期待している。
 
女性の営業で納得と選択の時代に対応
 同社専属の大工が18名おり、彼らの仕事を守っていくのも吉瀬氏の重要な仕事といえる。大工の技術とモラルは設計事務所にも見て欲しいという。
 すでに女性の監督も採用しているが、今後は営業も女性に切替えていくつもりである。住宅の営業も時代とともに変化しており、これからは説得よりも納得と選択の時代になると予測される。そうなると男性より女性の律義さを生かした営業の方が効果的だろうとの考えである。これからのチャレンジではあるが期待度は大きいという。
 
高気密、高断熱より光と風
 自然素材に関しては、産直の流通を確立、吉野の杜のネットワークによる吉野杉を利用しているが、高知の杉など新しい産地とのネットワークづくりも行っていく予定である。
 高気密、高断熱も6〜7年前に3年ほど徹底的にやってみたことがあるが、OMソーラーで自然の風と光を採り入れることを追求し始めたら、風や光を遮断するという考え方が何となく偽物っぽく感じ、現在は中気密、高断熱を基本にしているという。必要であれば対応はいくらでもできるが、高気密、高断熱を謳い文句にすることはない。
 
健康住宅の相談は親身になることが大切
 自然素材や健康問題の相談に対しては知りうる範囲でのアドバイスはできてもこれでよいとの断言はなかなかできない。最近の健康住宅ブームのようにエンドユーザーにこうあるべきと決めつけ、ユーザーを誘導しているような営業には大反対である。金額が同じならそれでもいいが手の届かないような金額のものをこれがなければ始まらないようにいうのは脅かしでしかない。中途半端な知識だからこんなことができるのであって、本当に勉強したら言えないはずである。同社でもアトピーのひどい人には、材料をひとつひとつ臭ってもらって大丈夫だったら使うというようなことも行っている。知識だけでなく親身にならなければ無理な話である。

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