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建築家の仕事をする関西の優良施工会社
人との出会いを転機に建築家の仕事に特化

株式会社じょぶ東大阪市

株式会社じょぶ
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 大阪府東大阪市にある株式会社じょぶは、設立後、5年目という新しい会社である。中央大通りの長田の交差点を北へ5分足らず、東大阪市七軒家、楠根郵便局の斜め前にある株式会社じょぶをお訪ねし、代表取締役の佐藤福男氏から設立のいきさつや、人との出会い、そして今後の方向性についてお話を伺ってみた。

建築の面白さを教えてくれた最初の出会い
 仕事を始めてからこれまで、大きな転機には必ず人との出会いがあったという佐藤氏は、元々設計の出身である。工業高校で建築を学んだ後、設計事務所で数年間設計の仕事に携わり、その後中堅のゼネコンに転職した。
 そこで初めて建築家の仕事を手がけることになったのである。最初に手がけた仕事は貴志雅樹氏の独立第一作であった。佐藤氏にとって貴志氏との出会いは、最初の転機として、建築の面白さを分からせてくれたという。以来、貴志氏の仕事を何度も担当することになり、親しくつきあってもらったが、よく喧嘩もしたという。いまでも兄弟分としてお付き合いいただいているそうである。
 
自然素材の住宅に目を向けさせてくれた第2の出会い
 その後、同社で多くの建築家と出会いながらいろんな仕事を担当していたが、ある時、これからの主流は自然素材を使った住宅だと熱心に説く人に出会ったのである。第二の転機となる出会いは、現在、OMソーラーの協会の会員工務店として自然素材の住宅づくりを展開している株式会社ケイ・ジェイ・ワークスの代表取締役である福井綱吉氏である。福井氏の意見に共感した佐藤氏は、勤めていた会社に自然素材を用いた住宅を手がけることを提案したが、受け入れてもらえなかった。結局、20年間勤務した会社を辞めて、独立することにしたという。1997年(平成9年)のことである。独立したからといって、そんなにすぐに仕事があるわけでもなく、その後1年余りは福井氏の仕事を手伝うことになった。

建築家の仕事に特化させてくれた第3の出会い
 そんな時に出会ったのが、建築家の佐藤登氏である。佐藤氏との出会いは三番目の大きな転機となった。佐藤氏に誘われて暮らし方研究会の会員となったのである。暮らし方研究会とは、本誌でも4号で一度ご紹介したことがあるが、建築家、施工会社、建材メーカーをはじめ、陶芸家、画家、木工家、園芸家といった作家により構成されており、セミナーや見学会を通じて、新築やリフォームなど住空間の改善をめざす人たちを対象に相談や提案活動を行っている。こうして暮らし方研究会の会員になったことにより、同社のキャパシティは一段と広がり、ますます建築家の仕事に特化していくことになった。会社設立後、5年目にしてすでに建築家の住宅を25棟手がけている。こうして佐藤氏の話を聞くと、素晴らしい人たちとの出会いによりここまでやって来れたと佐藤氏が言うように、人と人のつながり、出会いがもたらすパワーをつくづく感じてしまう。
 
建築家の仕事を手がけるメリットとデメリット
 そんな佐藤氏に建築家の住宅を手がけて良かったと思われる面と、逆に良くなかったと思われる面について伺ってみた。良かった面は、手がける住宅ごとに建築家の感性やデザインが異なり、異なったプランの空間をつくっていけるという喜びであり、建築主の思いが伝わり、一緒に物作りをしているという充実感が味わえることだそうである。では良くなかった面はどうだろうか。施工会社サイドが10年保証をしていかなければならないという背景の中で、水廻りや納まりにおける問題の発生になりかねない部分をどこまで歩み寄ってもらえるかということとデザインを追求するために生じた予算的なムリを施工会社がカバーしなければならない点だという。
 現在、年間に10〜12棟の分譲住宅も手がけている。このほとんどは、建築主がついた、いわゆる売り建てと呼ばれるもので、設計は建築家に依頼しているという。
 構造的には、木造なら在来、2×4、集成材、鉄筋コンクリート造と打放し、重量鉄骨造、混構造とまさに何でも来いであるが、こうでなくては多くの建築家に対応していくことは難しいといえる。いいかえれば佐藤氏の経験の豊富さの現れであり、充実したスタッフ、協力業者の和の力でもある。
 
常に3つの柱を持つ
 これからの方向性について、佐藤氏は常に3つの柱を持つことを目指しているという。一つ目は、建築家の設計による住宅である。二つ目は、木材を多用するなど特化した建築主のいる分譲住宅である。三つ目は、耐震診断を含む特化したリフォームである。こういった方向の中でじょぶのブランドを確立させていきたいという考えである。3つの柱を持とうというのは仮に1つがうまくいかなくても、経営基盤を揺るぎないものにしたいという思いからである。
 基本的には住宅を中心に展開していきたいが、店舗の仕事も依頼があればやっている。現在もコーヒー店チェーンから店舗の設計施工を依頼され、年間5〜6店ずつ手がけているという。
 佐藤氏と一緒に仕事をした建築家に言わせると、同社の場合、現場は監督のチェックだけでなく、佐藤氏の長年の経験に基づいた目とのダブルチェックになるので細かい納まり部分もきちんと確認されるため、大変安心だという。根っから建築が好きで、しかも責任感の強い佐藤氏の一面を伝える話である。

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